腎移植の話を聞きに講演会に参加してきました。千葉東病院で精力的に移植医療に携わっている川口武彦先生が演者でした。先生は腎臓内科に属しており、手術をするのではなく、手術前や手術後の腎不全患者さんの管理をなさっています。その管理の仕方によって移植の生着率の生存率も良くなるとのお話でした。腎不全の治療には、血液透析、腹膜透析、腎移植の3つの方法があります。それぞれ長所も短所もあり、よく理解したうえで自分にあった治療法を選択するといいと思います。川口先生のお話では、腎移植の成績も良好で適応のある患者さんには勧めたいとおっしゃていました。ただ、日本の移植件数はあまり増加していません。
講演を聞きながら、いまから42年前にハーバード大学に留学していた時のことを思い出していました。留学先の病院はピーターベントブリガム病院といい、世界で初めて人での腎移植に成功したところでした(留学中に病院が合併して、ブリガムアンドウイメンズ病院になりました)。一卵性双生児の兄弟間の移植であり、一卵性なので免疫反応(拒絶反応)が起こらず腎移植がうまくいったのでした。留学中に25周年記念が行われたのを覚えています。僕の研究室の横の部屋にその移植に携わったメリル教授がおり、時々お話を聞く機会がありました。好々爺といった風貌の先生で、やはり腎臓内科が専門です。その影響も受け、日本に帰国してから、希望に燃えて移植医療に邁進したのですが、それほどの貢献もできなかったことを反省しています。
移植ができる透析患者さんには是非、腎移植を勧めたいと思っています。
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