透析患者さんは毎日服用する薬も多く、薬による胃腸障害や胃粘膜の萎縮による胃炎の頻度も高いといわれています。おなかの調子が悪く胃薬を長期に飲んでいる患者さんを時々見つけますが、”今、調子が良ければ胃薬は止めましょうか”と言ってもなかなか納得されない方が多いようです。胃薬と言ってもいろいろあります。胃痛などに効果的で多く使用されている薬がPPI(プロトンポンプ阻害薬)という胃からの酸分泌を抑える薬です。最近の論文で(JASN 2018:13;1534)このPPIが透析患者さんで長期使用されていると大腿近位部骨折の頻度が19%高くなる(オッズ比1.19)と報告しています。有効な薬ですので必要な透析患者さんは服用すべきですが、症状がなくだらだらと長期に服用すると大腿近位部骨折の危険性が高まりますので注意が必要です。特に、透析患者さんでも高齢の方と閉経後の女性は骨折のリスクが高いので注意しましょう。
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